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Channel: スポーツナビ+ タグ:谷佳知
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【Bs】勇者と猛牛と瀬戸山隆三

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つれづれなるままに手にした、週刊ベースボール4月20日号。悪夢の2015年。その悲劇を予言するような記事が中ほどにあった。セトヤマ雑記帳。オリックス球団本部長の瀬戸山隆三が綴った一頁である。第1回。タイトルは「セイバーメトリクスを超える思い」。野球を統計学的観点から分析する、セイバーメトリクス。近年オリックスにも導入されたのだが、その数理科学は、残酷な結論をシーズン前に弾きだしていた。「ソフトバンクが優勝する」と。「オリックスはソフトバンクに対し、レギュラークラスがほぼ互角で、控え選手では劣っており、その控えの層はリーグでも5番目」「仮にレギュラー陣が全員リタイアすれば、5位の可能性がある」ぞっとした。「オリックスの優勝には、糸井・伊藤・中島・小谷野・T、金子・西・平野・佐藤達・馬原らの働きが欠かせない」ほぼ全滅した。そして、セイバーが高評価しなかったベテラン・谷に触れたあと、こう締めている。「セイバーメトリクスは選手の復活に掛ける思いまでは加味していません。セイバーメトリクスの分析を超える活躍で、優勝の輪の中にいることを願っています」あれだけの繚乱たる補強をして、ソフトバンクとやっと五分。それもレギュラー陣がフルで働いて。その隔たりに愕然とするが、その位置に、オリックスがいることもまた事実である。そして、そこまでチームを牽引したのが、瀬戸山隆三である。瀬戸山がきて、オリックスは変わった。千鳥足であった補強に芯ができ、長期的な視野で歩みだしている。結論はまだ先だが、毎年高く評価されるドラフト。瀬戸山が獲得した、若月・奥浪、宗・鈴木、吉田凌・佐藤世那ら有望な若者たちの成長を待ちながら、孵化までの空白期間を、小谷野・中島で補う。一見、乱獲にみえた昨年の補強も、実はセイバーメトリクスに基づいたものであった。果たして、いまはどうであろう。吉田正尚・近藤大亮ら10人のルーキーを獲得したが、いかんせん未知数。平野・坂口・馬原・谷・竹原ら多くのベテラン選手の喪失に加え、今シーズンのあの体たらく。恐ろしき予言書が、戦力アップを導き出すはずはなく、ましてや、「今年こそ、復活に掛ける思いがセイバーメトリクスを超える」なんて呆けたことは言うまい。近いうちにある。 70+10-19(バリントン・マエストリ・カラバイヨ・チャベス含む)+4(同数の外国人)=65。佐藤峻一が支配下登録されたとしても、枠は十分空いている。西武入団が確実視された小谷野をうっちゃり、「(獲得は)ない」と断言した中島をひそかに手中に収めた。水面下で、瀬戸山が手を差し出しているのは、果たして誰か。保留者名簿から外れた名古屋の安打製造機か、千葉の内野手か、秋波を送り続ける、トロントのファニーボーイか。瀬戸山チルドレンが殻を破るまで、もう少し時間がかかる。古田に拒まれた瀬戸山の右手が、もうじき誰かを連れてくる。

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